ロックスター

こんにちは!ゼロカラカンパニーの月岡です。
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ロックスター

新曲「ロックスター」のMVが公開された。

 

コメント欄の反応はとてもよく、嬉しい言葉をたくさんかけていただいた。

一番嬉しかったのはこのコメント。

 

ロックスターは決意の歌だ。

私にとってのロックとは、ロックスターとはどんな人間を指すのか。この曲にすべて書いた。

 

バカ真面目で脇役の
湿っぽい僕の人生に
突然それは現れた

英語はわかんないし
ギャンギャン響いてうるさいな
でもさ 出会ってしまったんだ

 

ロックスターは突然現れる。中学生の頃に出会ったELLEGARDENというバンドの細美武士さんが、私が初めて出会ったロックスターだ。「Stereoman」を聴いた14歳の頃の衝撃は一生忘れないだろう。音楽という概念ごと書き換えてしまうほどの強いエネルギーを真っ向から喰らった私は、ELLEGARDENの全楽曲を聴き漁り、英語の歌詞を一生懸命覚え、卒業と同時にギターを買った。

高校生になった私は、典型的な「バンド少年」になった。友達とバンドを組んで、文化祭やライブハウスでELLEGARDENやBUMP OF CHICKENなど、当時流行っていた邦ロックを演奏した。人に見られながらギターを掻きむしって歌うのはとても気持ちが良かった。そのバンドは卒業と共に解散したが、こんなに楽しいもの絶対に辞めてたまるものかと、私は音楽の道に進むことを決意して大学に進学した。

大学生になった私は、自分の曲を書くようになった。Cubaseを使って制作したデモ音源をバンドメンバーに聴かせた。幸いにも反応がとても良かったので、調子に乗った私はバンド活動にどんどんのめり込んでいった。年に1枚のペースで自主制作アルバムをリリースし、それを携えてライブハウスで精力的に活動した。少しずつファンが増えて評価されていくのがとても楽しかった。

ELLEGARDENに出会ってから、私の青春はすべてロックに奪われた。もはやロックに出会う前の人生には戻れそうもない。その事実がとても誇らしかった。

 

さあ 僕の想像をぶっ壊して
歌えばほら それがロックスター
ふりかえってしまうもんか
痛みも抱きしめるよ
悲しそうな顔しないで
笑っていて 僕の太陽
ワガママでも 悪者でも僕は構わない
君はそのままで行け

 

ロックスターは太陽のようだ。

存在するだけで周囲に多大なる影響を及ぼし、莫大なエネルギーを放出しながら誰のことも気に止めず動き続ける。人を生かすことも殺すこともある。もはやそれなしで生きていくことはできない。わがままで、傲慢で、それでいて気高く、尊い。決して触ることのできない惑星を、私はロックスターに重ねている。

 

時間かけて向き合ってみたけど
僕は君にはなれないと知ったよ
でもさ 人生はまだまだ長いから
少しでいいから力をくれよ

やらなかった未来じゃつまらない
バカ真面目脇役の僕も変われるかな

 

私は、ELLEGARDENにはなれなかった。当然のことだ。声もセンスも生まれた時代も、何もかもが違うのだ。憧れの人との差は、バンドを本気でやればやるほど開いていくような気がした。それには一生かかっても追いつけないと思った。

それでも、私はロックが好きだった。ELLEGARDEN以外にも何百というバンドに惚れて、何人ものロックスターに出会い、吸収できそうなものはすべて吸収して自分のスタイルを作ってきた。そうやって、月岡彦穂というミュージシャンは作られた。

「そのままの自分でいいよ」なんて甘言を、私は絶対に歌いたくない。大きなエネルギーにあてられてしまった人生はある意味で悲惨だ。太陽に触るために生きることが辛くないはずがないからだ。現状を常に否定し、前進し続けなければ願いは叶わない。

だから人はもがき、足掻く。醜くも美しく前進する。そのときそばに居てくれるのは、皮肉なことにロックスターその人だ。

 

夜の公園で音絞って
ギター弾いて歌っていた
ここでだけは無敵なんだ
いつでも生まれ変われんだよ

 

ロックには、経歴も、知識も、経済力も、容姿も、声質も、音量も、関係ない。ただひとつ必要なのは、「信じ抜く」ことだ。自分のロックがロックであると信じてやまない気持ちの持ち主だけが、ロックを演ることができる。

傲慢でもいいし、勘違いでも構わない。自分を信じ抜くことができる者にだけ奏でられる、世界で一番美しい音楽。それがロックだと私は思う。

 

君の想像をぶっ壊して
歌うよいま 僕がロックスター
ふりかえってしまうもんか
痛みも抱きしめるよ
悲しそうな顔しないで
笑っていて 次の太陽
ワガママでも 悪者でも君を見つけるよ
だから信じ抜け

行け

 

ロックは時代を超えていく。今のロックスターは過去のロックスターの子供で、次のロックスターは今のロックスターの子供だ。自分がいるのは何世代目だろう。ビートルズから始まった偉大なロックミュージックは、今、ここにある。自分の音楽が誰かを変えて、その誰かがまた次の誰かを変えていく。私はこの時代に生まれた意味はそこにある。

ロックとはすなわち、継承だ。

私は音楽が好きだ。ロックは特に好きだ。一生演りたいと思う。そのための努力は惜しみたくないし、願わくば、私を起点としてひとつの文化を作りたいと思っている。ゼロカラコンピもそうなると信じている。バカ真面目で脇役の私の人生は、まだまだ前半戦もいいところだ。

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