こんにちは!ゼロカラカンパニーの月岡です。
ゼロカラシティにご参加いただきありがとうございます。
このコラムは、ゼロカラシティのメンバー限定コンテンツです。内容はメンバー以外に漏らすことのないようお願いします。
さて、今回のテーマは「編曲やミックスの仕事では『感性』が仇となる」です。
編曲やミックスの仕事とは?
あまり動画では言っていませんが、実は月岡は「編曲」や「ミックス」を人から頼まれて、仕事として行うことがあります(詳しくはHPをご覧ください)。
内容はそれぞれ、
- 編曲…弾き語りをバンド音源にして、ミックスマスタリングして納品する
- ミックス…(主に)カラオケと歌をミックスして納品する
といった感じです。
起業してからは約3年、友達相手に趣味でやっていた時期も含めると、もう8年程もこんなことをしていますが、これが面白いくらい「お客様の満足度」に差があるのです。
最高!月岡さんに頼んで本当によかった!
という方もいれば、
高いお金を払ったのに、非常に残念です。
という方もいます。
これは何も不思議な話ではなく、「お金を払って商品をやり取りする」というしくみの上で動いている以上、満足度が分かれるのは仕方のないことではあります(なぜなら同額のお金…例えば「1万円」の価値は人によって違うから)。
とはいえ、後者のコメントはやはり傷付きます。そして何より、せっかく私に期待してくださったお客さまに申し訳ない気持ちでいっぱいになります。
「しょうがないよね、商品だもん」で片付けてはいけない問題だと思うので、私なりに、8年間この問題と向き合ってきた「現在の結論」を、この記事ではお話しします。
なぜクレームが来てしまうのか
同じ人間が作った同じ質(クオリティ)の作品に対して、なぜここまで満足度が変わってしまうのでしょうか。
結論から書くと、私は、「編曲・ミックスは自分と同じ『感性』の人に売るべき商品であり、感性の合わない人に売ること自体がそもそも間違っている」と考えています。
長くてすみません。もう少し具体的に、例えばそうですね、リンゴの話をしましょう。
リンゴの「商品としての良さ」は、ほとんどの人にとって同じです。甘くて、ほどよく酸味があって、ジューシーで、それでいて値段は安く、スーパーにいつでも置かれている…。こういうリンゴは、世の中の95%にとって「良いリンゴ」とされます。
残り5%のニーズは無視しても良い、これは誰か他の人がやってくれるでしょうから、リンゴを売るほとんどの人間は、この「共通したゴール」に向かって走っています。
しかし、編曲・ミックスは違います。これはリンゴでいうところの「残り5%」の人たちを相手にした商品です。編曲やミックスを依頼してくるのは、当然ですが「クリエイター」と呼ばれる人種で、クリエイターには「強いこだわり」があるからです。
そもそも、売る相手が違うのです。リンゴは「大衆」に、編曲・ミックスは「クリエイター」に売るものです。ですから、考え方が異なるのは当然のことです。
そしてクリエイターは、大衆の何倍もワガママです。みなさん、胸に手を当てて自分に問うてください。あなたも、ワガママですよね?…ちなみに私は、自分の音楽に対しては「超」が100個つくほどワガママです。
でも、クリエイターは、ワガママだから面白い。私はそう考えています。だからクリエイターから来たワガママな注文は尊重すべきですし、できる限り乗ってあげるべきです。たとえそれが、自分の感性では到底理解できない注文でも…。
そう、今やっと出てきた「感性」という言葉こそが、この問題のキーワードになっています。
思えば私が今までに受けた、編曲・ミックスへのクレームは全て、「俺の感性と合わない」。これでした。逆に言えば、これ以外のクレームは、8年間で一度も受けたことがありません。
「月岡に頼んでみたはいいものの、お前、俺と感性が違うじゃねえか」
これなんです。しかも、この「感性の違い」はかなりエグいものが多く、理解に苦しむ注文をされることもたくさんありました。
- 「生ドラムの優しい響きが欲しいから、ソフト音源はコレ(バキバキのエレドラ音源)を使ってくれ」
- 「カラオケに対して、歌のキーを半音ずらして不協和音にしてくれ」
- 「他の楽器の音は一切聞こえなくていいから、ボーカルの音量を最大まで上げてくれ」
…ここで「お客様の考え方は間違っています!」と言ってはいけません。世界は広く、ちっぽけな自分には理解できないことだってたくさんあるのです。もちろん「○○するのはどうですか?」と提案するのは良いですが、最後は必ずお客様の意見を優先します。なぜなら、お客さまはバンドメンバーではないので。(この一文だけで一記事書けます!笑)
では、このアンマッチの原因は一体どこにあったのでしょうか?
ここからは、感性の合わないお客様とマッチングしない方法について解説します。
感性の合わない人と仕事をしないためには?
そもそも、感性の合わない相手と仕事を「すること自体」に問題があると私は考えています。
つまり、
× 感性を頑張って相手に合わせる
○ 同じ感性の人から仕事が来るようにする
これが、私の8年間の、現在の結論です。
感性の合わない人と、感性を売りにした仕事をすべきではありません。お互いに不幸になります。
そのためには、仕事をはじめる時点で「自分の感性はこうです」と世の中に表明する必要があると、私は考えています。
例えば、私は「Cubaseオンラインレッスン」に対してクレームをいただいたことは、今までに一度もありません。200人以上やってきて一度も、です。
これはおそらく「お客様がYouTubeで月岡の雰囲気をすでに知っていた」ことが原因だと考えています。
生徒さんの99%はYouTubeからの流入なのですが、つまりそれは、YouTubeで喋る月岡を気に入ってくださった、ということです。つまり、ご注文の時点で感性が合うことが証明されているので、いざレッスンに入っても「ああ、動画通りの人だ。望み通りのサービスだ」となり、クレームは来ないというわけです。
そしてこの、私でいうところのYouTube動画のことを「ポートフォリオ」と言います。このポートフォリオを充実させ、自分の感性を表明することが、私はアンマッチを防ぐ何よりの方法だと考えています。
逆に言えば、私が編曲・ミックスでアンマッチをしてしまったのは、圧倒的にポートフォリオが少ない、あるいは見つけ辛かったからです。自作の楽曲はひっそりとサブスクで公開していましたが、「ひっそり」ではダメなのです。もっと大々的に、仕事を依頼しようとする人全員の目につく場所においておく必要があります。だから私は、今年に入ってから毎月、自作楽曲のMVを作り、YouTubeにアップしています。
音楽で仕事をしたいみなさん、ポートフォリオ、作ってますか?まだの方はぜひ作ってください。そして大々的に公開してください。できれば作品は1本ではなく、数本公開してください。そうすればあなたの「感性」がわかります。感性が分かれば、幸せな仕事ができます。ゼロカラシティの仕事人エリアに書き込むときの参考になれば幸いです!
まとめ
本日のまとめは、
- 感性の合わない人と仕事をするな
- そのためにポートフォリオを充実させるべし
でした。来週もお楽しみに!