フリーランスは「報酬未払い問題」とどう向き合っていくべきか?

こんにちは!ゼロカラカンパニーの月岡です。
ゼロカラシティにご参加いただきありがとうございます。

このコラムは、ゼロカラシティのメンバー限定コンテンツです。内容はメンバー以外に漏らすことのないようお願いします。

 

さて、今回のテーマは『フリーランスは「報酬未払い問題」とどう向き合っていくべきか?』です。

 

カラクリラジオに届いたおたより

先日、カラクリラジオ宛にこんなおたよりが届いた。

わかる!!!!!!!!!!!!!!!

私も駆け出しの頃そんなことあった!!!!!!!!!!!!!!!!

 

なぜラジオのお便りをブログで?と思った人のために説明すると、実はカラクリラジオの収録は週一ではなく、月に一回集まって複数本を収録している。

次の収録日は来週。そして来週録るラジオが出るのは7月だ。これではこの人の救助が遅れてしまう。

 

相談者さんの悩みは深刻である。それにもしかしたら、この方はゼロカラシティのメンバーかもしれない。そのわずかな可能性にかけて、このブログを使って最速でアンサーを書いていこうと思う。

この方はどうすれば良いのだろうか?

 

報酬未払い問題

ワンマンで仕事をしたことがない会社員や学生の方は、「え?働いたのに報酬もらえないことある?」とお思いかもしれませんが、これね、あります。かなりあります。

 

この問題の根幹には「フリーランスはナメても良い」という依頼主側の意識があります。

残念な現実ですが、フリーランスはナメられています。もっと正確に言うと、フリーランスは「相対的に」ナメられています。

 

例えば、YAMAHAと月岡彦穂、どちらの方が怒らせたら怖そうですか?きっと100人中100人がYAMAHAと答えると思います。

冷静になって考えると「人を怒らせた後の仕打ち」そのものは法人だろうが個人だろうが変わらない(裁判)のですが、法人には「デカくて強そう」「容赦なく訴えて来そう」というイメージがあり、個人には「非力そう」「訴えるまではしなさそう」というイメージが(人によりますが)あるので、まぁ怒らせても平気そうなのは月岡彦穂の方かな、とほとんどの人は判断します。これが、フリーランスが「相対的にナメられている」という状況です。

 

なので、相談者さんはまず「ナメられないこと」を意識しましょう。「今回は勉強料」と思うのは自由ですが、これはあくまで胸の内にとどめ、表では「絶対に許さない。地の果てまで追いかけて確実に殺す」という毅然とした態度でいてください。

Twitterで「未払いの方がいらっしゃったので今後の対応を知り合いの弁護士に相談中です。」と嘘を書いてもいいです。間違っても「未払いがあったけどまぁ今回は仕方ないか…」などと書かないでください。それをやってしまうと、あなたは「未払いを許してくれる人」になってしまいます。

 

残酷な話ですが、一度未払いをキメられた人は、今後も未払いをキメられる可能性が高いです。なぜなら、あなたは一度依頼主から「こいつは未払いでもOK(=ナメてもOK)」と思われた人間であり、それは申し訳ないですが、決して偶然ではないからです。「怒らせても大丈夫そうな人」感が出ちゃってるんです。

Twitterやココナラのプロフィールに「駆け出し」とか「アマチュア」とか書いているなら、それは今すぐ消してください。嘘にならない範囲で、自分の経歴やポートフォリオをコテコテに盛ってください。書くことがない人は「顧客満足度100%」とか書いておいてください。顧客からクレームを受けたことがなければ嘘になりませんから。

 

あなたの表に出しているすべての情報から、ナメられそうな要素を徹底的に排除しましょう。「この人仕事できそう」「いい人そう」と同じレイヤーに「なんかすごそう」「怒らせたら怖そう」を盛り込んでおくのです。ハッタリはいくらでもかましてください。ハッタリをきっかけに仕事が来たら、ハッタリが現実になるよう死ぬほど努力してください。それができないようならそもそも生き残れませんから。…あ、念の為もう一度書きますが、嘘の経歴を書くのはダメですよ。普通に犯罪ですし、私が唆したみたいになっても嫌なので。

 

くれぐれも言っておきたいこととして、私は決して相談者さんを責めたいわけではありません。でも少しでも力になるために真剣に書くとこんな文章になってしまいます。今日ちょっと言葉尻が強くてごめんなさいね。真面目に書くとですます調になっちゃいますね。

相談者さん、気を強く持ってこれからも頑張ってください。応援しています。

 

具体的な対策

ここまでは精神論でしたが、ここからは具体的な対策を書いていきます。どれも実際に私がやっている「報酬未払いマン根絶作戦」です。

まずは箇条書きにしてみます。

 

  1. 料金は基本前払い制にする
  2. お金の話をしたがらない相手からの仕事は断る
  3. ゴリゴリの契約書を結ぶ、または打ち合わせのスクショを撮っておく

 

基本のキみたいな3項目ですが、結局こういうのが一番効果あります。ひとつずつ見ていきましょう。

 

1、料金は基本前払い制にする

 

早速ですが、これで問題の99%は解決できます。根本を断つのです。報酬の未払いが怖いなら、受け取ってから仕事をすればいいじゃない。

クライアント側は基本的に料金を後払いにしたいものです。どうせ払うお金なら、成果物を見てから気持ちよく払いたいのは当然の心理ですよね。

でも、例えば松屋は食券制で吉野家は後払い制です。どちらも成り立っていますし、松屋に対して「なんで先に金払わなきゃあかんのや」と言っている人は見たことがありません。松屋の食券は「そういうもの」としてみんな受け入れています。

あなたの仕事も「そういうもの」にしちゃいましょう。ホームページがあるならしっかりと「料金は前払い制となっております」と書きましょう。DMでやりとりしている場合も、必ずどこかにその一文を差し込みましょう。

 

私の経験則ですが、料金を後払いしたがる個人にロクな奴はいません(法人は決算の都合などでどうしても後払いになることがある)。

あなたが「料金は先に頂戴しております」と言ったときに「え…いや…できれば作品をいただいてからお支払いしたいのですが…」と言う人間を絶対に信用してはいけません。だってそいつ、もう未払いで逃げるための「助走」つけてるじゃないですか。どう見ても作品持ってダッシュで逃げますよ。そうでなかったとしても、作品が気に入らなかったとか言って不当な値引き交渉してきますよ。

料金をいつ払わせるかは、基本的にサービス提供側が決めるものです。そして、あなたが何も言わないと基本的に料金は後払いになります。なので、仕事を受けるときは基本的に「先払いですがよろしいですか?」と言いましょう。それで嫌な顔をする人は、丁重にお断りしましょう。

ただ、先に述べたように法人相手の場合や、先に料金を取りづらい形態の場合、そう一筋縄ではいかないでしょう。そういう場合の対処法は、次の2つになります。

 

2、お金の話をしたがらない相手からの仕事は断る

 

「あなたが今やっている仕事の報酬、いくらですか?」

これに即答できない場合、その仕事は未払いで逃げられる可能性があります。まさか料金を決めずに仕事を始めていませんよね?

そもそもあなたがやっている仕事の根幹は「売買」です。資本主義経済における売買とは「価値と金銭の交換」です。なぜ価値を固定したのに金銭は固定しないのでしょうか。

…だって値段を見ずにソフト音源買わないですよね?ボーナス出て酒飲んで気分が大きくなっていたとしてもチラッとは見ますよね?

 

契約の段階でお金の話をしてこない相手には、何かしら裏があります。それこそ「助走」ですし、お金に対して後ろめたい何かがあると思っておいた方が身のためです。私の経験上、お金に対して真摯な人は、絶対にお金の話を振ってきます。私はゼロカラシティで仕事を依頼するとき、必ず報酬額を記入していますよね?あれはやるのが当然であり、やらないとかなりヤバいんです。

あなたが作品を作っている相手がお金の話をしたがらない場合、一刻も早くそいつとは距離を置きましょう。絶対にいつか揉めます。クリエイター界隈では「お金の話をするのはダサい」という思想の一派がおり、思想は個人の自由なので一派の存在自体は私は良いと思っているのですが、「報酬未払いを避けたい」という観点においては、その一派には近づかない方が身のためです。

もしクライアントから「お金の話なんていいじゃないスか!最高の音楽作りましょうよ!」と言われたら「私は金銭の話も作品と同じくらい重要視しているので、先にそこを固めたいです」という旨を伝えたのち、相手に改善の余地が見られなければ逃げましょう。搾取される前に、全速力で。

 

3、ゴリゴリの契約書を結ぶ、または打ち合わせのスクショを撮っておく

 

契約書は絶対であり最強の武器です。法的拘束力はもちろんのこと、「契約書を結んだ」という事実があるだけで相手は心理的にかなり逃げづらくなります。できることなら、全取引で契約書を結ぶようにしたいものですね。

しかし、これは現実的ではありません。なぜなら、契約書をしっかり結んで仕事に取りかかれるのは一部の業務だけで、ほとんどの仕事はDMやメール、あるいは居酒屋で「なんとなく」始まるものだからです(フリーランスなら特に)。

それらの仕事にいちいち「ワタクシ、契約書を結ばないとアナタとお仕事はできませんのでッ!」と言っていたら、たぶん嫌われます。契約書は大切ですが、全ての仕事を法的拘束力100%で取り組むのはちょっと病的ですし、何よりお互い疲れちゃいます。私の場合、契約書はここ一番の大仕事でのみ結ぶようにしています。

 

さて、突然ですがみなさんは「LINEのスクショは法的証拠として使用できる」ことをご存知でしょうか?これは知り合いの敏腕弁護士が言っていたのでたぶん間違いないと思います。Twitter、Discordなどのスクショも同様です。ハンコを押した契約書ほどではないにせよ、裁判でこれらのデータは全然使える、むしろ最近はこれが決定打になることも多いそうです。

引かれること覚悟で書きますが、私は(よほど信頼できる相手を除き)すべての業務上のやり取りをスクショしています。電話や居酒屋で決まった仕事は、別れた後に必ず「先ほどはありがとうございました!○○を××までに△△して◻︎◻︎円でお間違いないですよね?改めてこの度はよろしくお願いいたします!」と文章を送り「はい」という返事を引き出してスクショしています。

 

やりすぎだと思いますか?何度も言いますが、これくらいやって初めて安心なんです。

 

フリーランスはナメられていると冒頭で書きましたが、正直、「これくらいやってないからナメられている」のだと私は思っています。防御力は高ければ高いほどいいんです。こいつ法人みたいなガードの硬さだな、と思われてなんぼです。

 

最後に真理を書きます。防御力が高いことに真っ当な依頼主は安心し、ヤバい依頼主は怯えます。

防御力を高めることは、取引先をいい意味で選ぶことと同義です。真っ当にやっていれば、真っ当な人から依頼が来ます。逆もまた然りです。

 

相談者さん、ここまで読んでますか?マジで応援しています!!!!!一緒に頑張りましょう!!!!!

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