こんにちは!ゼロカラカンパニーの月岡です。
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レコーディング終了!
4月発売予定の4thアルバム、11曲すべてのレコーディングが終了しました!!
長い長い戦いでしたが、いよいよゴールが見えてきました。一番苦しいところは乗り越えたぞ……という心境です。
残るはミックスマスタリングのみ。土台はできているので、あとは細部を詰めていく作業、つまりは、90点を100点にする作業が残っています。
ここはもう私のこだわりです。多くの人にとって、私の90点と100点の違いはわからないかもしれませんが、私にとってはとても大切な違いです。「神は細部に宿る」という言葉が私は好きで、音楽はまさにその結晶だと思っています。
・ちょっと音圧に違和感が……
・ボーカルの〜〜って歌詞、ちょっと聴き取りづらいな……
・リバーブの残響音のタイムをもう少し短く……
・ギターの5kHzあたりを全体的に足したいな……
・おや?このテープサチュかけると全体がいい感じに……
などなど、挙げればキリがありませんが、こだわりにこだわりを重ねてアルバムは完成します。
今までソロで出した3枚がそうだったように、今回も〆切日ギリギリまで粘ります。2枚目のアルバムは会社員時代に作ったのですが、1時間の昼休憩に帰宅してミックス作業を進めたのはいい思い出です(笑)
一方で、私が大切にしているのは、「たとえ100点が出せなかったとしても〆切日には作業を終わらせて提出する」という強い意志です。出せなかった100点より、出した99点の方が価値があると思っています。
その1点を詰められなかったのは「時間がなかったから」でも「機材が不足していたから」でもなく、「現時点での自分の実力がそこだった」に過ぎません。時間が足りなかったのは自分のタイムマネジメント力が足りなかったからで、機材が買えなかったのは自分の経済力が足りなかったからです。99点しか出せなかったら「自分は99点の人間である」というただそれだけのことで、次に100点を出せるように努力するしかないのです。
だからこそ、最終的に完成した作品には何があっても胸を張るべきです。たまに自虐的なプロモーションをする人がいますが、私はあれは嫌いです。努力していないことの裏返しであり、自分の実力不足にヘラヘラするようなミュージシャンに魅力はいっさい感じません。私なら、たとえ今回のアルバムが99点で世に出てしまったとしても、「100点です」って顔で堂々とプロモーションします。それは、ミュージシャンが最低限使うべき礼儀であり、ファンに対する誠実さであり、優しい嘘だと思うのです。(事実、メジャーミュージシャンは歌レコして半年後に世に出た曲に対して「今ならもっと上手く歌えたのに!」なんて言いませんよね)
〆切日に胸を張って作業を終わらせるために必要なのは、ただひとつ、努力することです。残された時間を、思考リソースを、可能な限り作品に注ぎ込むことです。根性論は嫌悪されがちな世の中ですが、ミュージシャン(もっと主語を大きくすると「クリエイター」)には、根性論が必要なときが絶対にあります。今回のアルバムも、リード曲が全然できなくて何曲もボツにしたり、歌が難しすぎて一日中レコーディングしたり、そういう「自分の実力を超えた先」が見たくて無理をした場面が何度もありました。しかし、あそこで無理をしていなかったら……といま考えるとゾッとします。睡眠時間を削って、食事を後回しにして、あらゆる予定をキックして、どんなに理不尽でも根性で突き進む。いい作品を作るためには、そういう瞬間が絶対に必要です。(逆にいえば、それをしていない作品は聴けばわかります)
先ほど「一番苦しいところは乗り越えた」と書きましたが、これは「産み」が終わったということであって、ここから〆切日までは「推敲」の苦しみが始まります。「産み」と違って完成の概念がないので、例えるなら、無呼吸で全力ダッシュしてそれだけ遠くまで走れるか、のような、地味で苦しく、ゴールのない戦いです。精神的にはかなりキツい作業になります。
だからこそ、ここで効いてくるのが根性論です。少しでも遠くへ、少しでも見たことのない景色を見るために、ただただ走るのです。自分との戦いです。自分が過去に作ったどの作品よりも、最新作は努力しなければいけません。人からの評価はどうあれ、自分の中では過去最高のものを常に更新しなければいけません。
推敲は、孤独で暗く寂しい作業です。これをどれだけ深掘りできるか、その結果が一生デジタルで残る時代に産まれたことを、私は一周回って幸せに思います。
私の締切日は3月31日。残り11日で行けるところまで行きます。その結果を、ぜひ楽しみにしていてください!