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DTMと「シェア」の関係
事務所に突然「LUUP」がやってきた。
LUUPはいわゆるシェアサイクルのことで、街中に「ポート」と呼ばれる専用の駐輪場がいくつもあり、数百円払うことでポート間を行き来することができる。自分で運転するバスみたいな感じだ。仙台市内にはすでに無数にポートが設置されていたが、やっと私の事務所にもLUUPがやってきた。
と、書いておいてアレですが、まだ乗ったことはない。事務所にポートこそできたものの、私はまだ一回しかLUUPと巡り会えていないからだ。しかもその時は写真の通り雨だった。早くLUUPに乗って颯爽と走ってみたいけど、数が少ないのか、いつ見ても空っぽのポートが虚しく存在するだけだ。
仙台にはLUUP以外にも「DATE BIKE(ダテバイク)」という類似のサービスが浸透しており、街の中心部ならほとんどシェアサイクルで移動できるようになっている。私は中心部に住んでいないのでその恩恵にあずかれなかったのだけど、ついに私の生活区域にもシェアサイクルが浸透してきた。嬉しいことだ。仙台駅に用事がある時に徒歩より気軽に行けたり、オトナリダンギの収録(いつも長利くんのスタジオで撮っている)の移動時間が短縮できるのはありがたい。自転車なので酒を飲んだら乗れないのが残念だけど、まあそれは諦めよう。片道切符だ。
シェアサイクルを始め、最近はどんどん「シェア」が増えている気がする。街中でコワーキングスペースもよく見るようになったし、シェアオフィスをしている人も周りにたくさんいる。「よく使用するが自分で所有するほどでもない(あるいは値段が高くて買うのに抵抗がある)」モノは、シェアに向いているのだろう。
そういえば、DTM界隈ではあまり「シェア」の話を聞かない。シェア、何かできないものだろうか。
仙台には「シェアできるレコーディングルーム」がある。DAWソフトがインストールされたPCとオーディオインターフェース、ヘッドホン、スピーカー、さらにはボーカルブースもついた部屋が時間単位で借りられるのだが、残念ながらあまり流行っている噂は聞かない。宣伝が上手くないなのか、それとも単にニーズがないのか。いい感じの機材を置けば「お金はないけどいい音で録りたいッス」という学生に使ってもらえそうな気はするし、レコーディングの高級機材は「廃り」の概念があまりないので、長い目で見たら採算取れそうな気はするのだけど。
そう考えると、シェアサイクルが悉く”電動アシスト”機能付きの自転車なのは賢い。普通の自転車は安くて2万円ほどで買えるので、「それくらい自分で買うわい」となるところを、電動アシスト自転車は10万円くらいするので、「気軽に買えないし、借りられるなら借りちゃうか」と思える。見事な心理作戦だ。
しかしそう考えると、レコーディングスタジオはまさに「シェアレコーディング」かもしれない。個人ではとても買えないような数十万円のハード機材がたくさんおいてあり、時間レンタルでそれを使うことができるのだから。先述のルームが流行っていないのは、「安い機材なら自分で買うし、いい機材はレコスタで使うわい」とユーザーに思われているのだろう。
他に何かないか。DTMでシェアできるもの。
「防音部屋」はどうか。機材はひとつもなく、ただ防音の空間。そこにマイクを持ち込んでボーカルやアコギを大音量でRECできる。
あ、でもそれって普通に練習スタジオか。
いや、でも練習スタジオには隣に轟音バンドが入っていたらレコーディングできないという”運要素”がある。だからシンプルかつ強力な防音部屋さえ確保できれば、それはシェア使用ができるかもしれない。
防音の部屋を仲間数人で共同契約し、空いてたら好きなだけ使って良い、みたいなシステムは面白いかもしれない。4人で月3万円ずつ出し合えば家賃12万円の部屋が借りられるので、都心でなければだいぶ贅沢な部屋が見つかるだろう。施工の必要がない「ミュージション」的な防音賃貸を借りると良さそうだ。
しかし、これを実現するためには「近くに住むDTM仲間」が必要になり、このハードルは高そうだ。なぜならDTMは自宅で完結する趣味であり、オンラインで仲間と繋がることが多いので。「リアルで会えるDTM仲間が4人いて、定期的に会っており信頼関係もバッチリなのでお金を出し合っても抵抗ない」という恵まれた人間関係を持つDTMerは極めて少ないだろうことは容易に想像できる。そう考えると、複数人で防音部屋を契約するのも難しそうだ。
ただ、小さく考えれば何かできそうではある。例えば、私のホームスタジオを私がいない期間誰かに貸すとかどうだろうか。この部屋は防音だし、レコスタほどではないにせよ、機材も一般的なDTMerよりはいいものが揃っている。DAWとPCだけ自分で持ち込んでもらうことにすれば、ボーカルRECやミックスで使いたいという人はまあまあいそうだ。YouTube視聴者が興味を持ってくれることもあるかもしれない。
旅行や帰省、そうでなくても普通に深夜など、「私が事務所にいない時間」はそこそこ存在する。まずは近くに住む友人に無料で貸して使ってもらって、話し合いながら詰めていったらそこそこいいビジネスになりそうだ。部屋に働いてもらえたら最高だ。ちょっと考えてみようかな。