音楽で飯を食いたい人の、正しい値段の付け方

こんにちは!ゼロカラカンパニーの月岡です。
ゼロカラシティにご参加いただきありがとうございます。

このコラムは、ゼロカラシティのメンバー限定コンテンツです。内容はメンバー以外に漏らすことのないようお願いします。

 

さて、今回のテーマは「音楽で飯を食いたい人の、正しい値段の付け方」です。

先日の動画で…

先日、こんな動画を公開しました。

 

この動画の中で私は「安売りするな!」と言いました。
安売りすると様々なデメリットがあり、長期的に考えたときに圧倒的に悪手である、だから安売りは絶対ダメ!という内容でしたが…

「じゃあ、一体いくらにすればいいの?」

という話をこの記事ではみなさんにお伝えします。

お金の話はYouTubeだと低評価が増えてしまうので…苦笑
このクローズドな場所で共有します!

ちなみに、実際に私が自分の商品に値段をつけるときに使っている考え方です。ではどうぞ!

値段の付け方

まず前提として、自分の商品に値段をつけるときの考え方は、「それを売ってどうなりたいのか?」次第で変わってきます。

具体的には、以下の2パターンですね。

  • 音楽だけで食っていきたい
  • 副業として小遣いを稼ぎたい

この記事では、前者である「音楽だけで食っていきたい人」向けの考え方を共有します。後者向けの記事は、別の回で書かせていただきます。

まず結論から言うと、音楽だけで食っていきたい人は、「自分の欲しい金額」を、自分の感覚より高価だったとしても、ためらいなく設定することをおすすめします。

音楽だけで食っていきたい人

音楽だけで食っていきたい方へ。

これはもう、自分の欲しい金額をバーンと提示しちゃいましょう。
謙遜や遠慮は要りません。さあ、いくら欲しいですか?

 

わかりやすく「月収」で考えましょう。
例えば音楽だけで月に30万円の売り上げを作りたいとします。

サブスク収益がない場合、30万円を達成するための式は非常にシンプルです。

価格 × 販売数 = 30万円

この式を満たすように、「価格」「販売数」を設定すれば良いのです。ちなみに、商品が複数ある方は、

(価格a × 販売数a) + (価格b × 販売数b) + …= 30万円

となります。この記事では前者を扱います。

 

価格と販売数には、ある決定的な違いがあります。
それは、「価格は自分で決められるが、販売数は自分で決められない」というところです。

つまり、価格を1,000円にするのも5,000円にするのも自分の自由ですが、月に何件売れるかは「広告の量/質」「露出量」「人気」「景気」「運」など、様々な要因によって変動するため、「販売数」を自分で決めるのは難しいのです。

 

従って、先の式である

価格 × 販売数 = 30万円

のうち、自分で決められるのは「価格」のみとなります。販売数が定数になることはありません。

…とはいえ、販売数の「予測」ができないと、価格設定は難しいです。

よって、不確定な「販売数」についても、ある程度の予測はしておく必要があります。

 

では、ここからは、ゼロカラカンパニーの目玉商品である「Cubaseオンラインレッスン」を例にとって、販売数の予測をしてみましょう。

月30万円を稼ぐための価格設定(例:ゼロカラカンパニー)

ゼロカラカンパニーのCubaseオンラインレッスンは、1時間×4回のレッスンが基本になっています。
以下、この4回セットのレッスンを「1個」と表現します。

ゼロカラカンパニーのサービスがこのCubaseオンラインレッスンだけだと仮定します。そして、これから音楽で飯を食いたい2019年の月岡青年は、このCubaseオンラインレッスンだけで月に30万円を稼ぎたいとしましょう。

 

  • 【目的】月に30万円の売り上げを作ること
  • 【方法】「Cubaseオンラインレッスン」を売ること(1時間 × 4回 = 1個)
  • 【課題】この条件でCubaseオンラインレッスン1個あたりの価格を設定しよう!

 

では、みなさん。自分のこととして考えていきましょう!

 

まず考えるべきは、「この商品は最大で月に何個提供できるのか?」ということです。これを「提供可能限界量」と言います(命名:月岡)。

自分の生活をかえりみて、この「提供可能限界量」を計算してください。これを怠ると、物理的に成り立たない商売を始めることになりかねません。

Cubaseオンラインレッスンなら1個売るたびに4時間が削られますから、とても計算がしやすいです。

 

この商品を1日に2個売るのは、どう考えても難しそうです。なぜなら、月岡青年は1日に8時間もCubaseの話をできないからです。それに、24時間のうちの8時間をレッスンに割いていたら、レッスンの宣伝源であるYouTubeの更新や、お客様へのメール返信などの時間を確保できません。よって1日に2個売るのは不可能です。

 

では、1日に1個ではどうでしょうか?

私はこれも難しいと思います。先ほど1日8時間もCubaseの話はできないと書きましたが、1日4時間でもちょっと「嫌」です。数日間くらいなら良いですが、それを何年も続けるのは流石に骨が折れますし、喋りすぎてCubaseが嫌いになる、YouTubeの更新が止まるリスクの方が高いと考えます。私は昔、塾の講師をやっていましたから、1日4時間、毎日人に対してモノを教えるしんどさを知っています。よって、1日1個売るのも難しそうです。

 

では、2日で1個ならどうでしょうか?

これならできそうです!2日で1個ということは、1日あたり2時間のレッスン。これは塾講師時代の「楽な出勤日」に相当します。

 

さあ、だいぶ現実的になってきましたね。

Cubaseオンラインレッスンを2日で1個売る、ということは、月に15個売れるということです。月に15個売って30万円を稼ぎたいのなら、これはもう誰でも分かる単純な計算です。

価格 × 15個 = 30万円

よって価格は1個2万円。これで求まりました。

 

…が!!!

 

これはあくまで「提供可能限界量」です。

この「2万円」は、「これ以上値段を落とすと生活できない」という「最安値」を意味しています。

最安値での提供は危険です。なぜならシンプルに、最安値とは「月に15個必ず売れる」ことを前提とした値段だからです。

 

売れません。月に15個。駆け出しで。

 

すみません、急に俳句になってしまいました。でも本当。売れませんよ、駆け出しの頃にCubaseオンラインレッスンが月に15個なんて。

ややこしくなってきたので、一旦ここまでをまとめましょう。

  • Cubaseオンラインレッスンの例で、1個2万円を下回る価格での提供は不可能
  • その「2万円」は「月に15個売れる」前提の価格なので、本当はもっと値段を上げる必要がある

 

さあ、あなたならどうしますか?

 

実はここで初めて登場するのが「相場」です。

 

これ、意外じゃないですか?大抵の人は「最初に」相場をチェックすると思います。そして相場からなんとなくの価格を設定しますが、私の理論は違います。

ここがこの記事のパンチラインなのですが、

自分の提供可能限界量から商品1個あたりの最低価格を割り出し、その後で相場を参考に価格を上げていく

 

これが私の考える、「飯を食うための価格設定の方法」です。

 

なぜこの順番なのかというと、結局「相場」なんてものは「皆が皆の相場を参考にし合い、ズブズブと価格が下落した成れの果て」だからです。
つまり人間心理として「初めて商品を出すときは怖いから周りより安くしたい」という気持ちがあるので、その下向きの競争が起こり続けた結果として、みなさんの目にする「相場」というものはあるのです。

 

これ、めちゃくちゃ怖い話なんですけど、「音楽で飯を食えている人」と「食えていない人」では、相場観が全然違うんです。SNSでよく見る「食えてない人(能力が低い人という意味ではなく『専業ではない人』という意味)」の相場感覚に対して、「音楽で飯を食えている人」は数倍の金銭感覚を持っています。(ちなみに、これは先日SleepFreaksさんの副社長とお茶したときに2人で盛り上がった話題です。なので『マジ』です。)

 

ですから、みなさんがSNSで手に入れた相場感覚、それはあまり参考にしないでください。

音楽で飯が食いたいなら尚更です。あれは「食えてない人」の相場であって、「食えてる人」の相場を本当は参考にすべきなのです。

見るべきは「第一線」の価格設定です。私はゼロカラカンパニーを立ち上げるとき、SleepFreaksさんの価格設定を目に穴が開くほど研究しました。「DTMレッスン業界」ではSleepFreaksさんが当時ぶっちぎりのナンバーワンだったからです。そして彼らのサイトを見て、「レッスンって、1時間1万円とってもいいんだ」ということに気が付きました。

そして、先ほど割り出した最低金額である2万円は、見事4万円に昇華したのです。これで月の販売数目標が15件から7〜8件に減りました。これならなんとか達成できそうです。第一線の相場は「食えている相場」なので、そりゃ参考にすればうまいこと「食える価格」になるんですね。とても腑に落ちる結果となりました。

まとめ

この記事のまとめは、

  • 自分の提供可能限界量から商品1個あたりの最低価格を割り出し、その後で相場を参考に価格を上げていく
  • 相場を参考にするときは第一線の「食えている人」を参考にせよ

でした!

もちろんここから「マーケティング」「ブランディング」などさまざまな知識と戦略が必要になってきます。商品は置いておくだけでは売れません。しかし、まず第一の関門である値段設定に関しては、一旦この方法で考えるのが私はおすすめです。細かいことは値段を設定してから考えれば良いのです。

 

ぜひ参考にして、ご自身の商品の価格設定を見直してみてください。

では、来週もお楽しみに!

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