こんにちは!ゼロカラカンパニーの月岡です。
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「emergence」の打ち上げ
昨日は5月25日に行われたワンマンライブ「emergence」の打ち上げの日だった。
ライブ当日はホテルのチェックイン時刻が迫っており打ち上げ無しだったので、日を改めてようやく昨日、全員が集まることができた。
→バンドメンバー5人+当日カメラを回してくださったシンさん(月岡の正面)
行きつけのお店を4時間貸し切って存分に飲み明かした。普段飲まない長利くんまで日本酒をガブガブ飲んでおり、全員かなり酔っ払ってライブの想い出や今後の展望について熱く語り合った。あんなに美味い酒を飲んだのは生まれて初めてかもしれない。主催イベントの打ち上げは幸福そのもの。それくらい濃厚な夜だった。濃厚すぎて二次会の記憶がすっぽりと抜け落ちてしまったが、それ以外は最高の夜だった。
まだ発表できないけど、次のライブの企画が持ち上がっている。「emergence」と違って先行話はゼロカラシティでもしないつもりだけど、少しヒントを書くと、「emergence」の大きな反省点のひとつである『その日がどうしても空けられなかった人』にも漏れなく来てもらえる日程感でライブしたいと思っている。続報をお楽しみに。
とりあえず、長かった「emergence」の物語もこれでひと段落。あとは次のライブの構想を練りつつ、私にはライブミックスの制作が残っている。
ライブミックス
ライブミックスは初めてやるので、色々と試行錯誤しながら作業を進めている。
一番の課題である「音の被り」について書いておきたい。ライブミックスが普段のレコーディングと一番違うところは、「マイクに複数の音が乗っている」という点だ。
例えばボーカル。レコーディングではマイクはボーカルのみを収音するが、ライブだとそうはいかない。ボーカルマイクはボーカルの歌声以外にも、後ろで叩いているドラムの音や、アンプから出るエレキギターの音を収音してしまう。ステージが広い会場なら工夫次第で抑えることはできるが、先日のような小さな会場ではボーカルマイクの近くにドラムを置くしかないので、どうしても被りの問題は発生してしまう。
ボーカルにドラムの音が被っていると、うまくエフェクトをかけることができない。だからさまざまな技術を駆使して、ドラムの音だけを削除しようと試みる。完全にとはいかなくても、RXなどを使えばそこそこのクオリティでドラムだけを削除できるので、最近はRXを毎日のように触ってああでもないこうでもないと試行錯誤している。世の中のライブ映像作品のほぼ全てにRXが使われているんじゃないだろうか。RXがこの世になかったら、一体何千本のライブ映像がおじゃんになっていただろう。
また、「月岡がドラムの生音ミックスに慣れていない問題」も浮上している。レコーディング作品ではドラムはほぼ全て打ち込みを使用しているため、生ドラムミックスは今回が数年振り数回目の挑戦になる。キックとスネアの素録りの音ってこんなにペラッペラなんですね、という絶望感と毎日向き合っている。
私に無限の資産があれば、ライブ会場に専用のアウトボードや卓を持ち込んで、全チャンネルの音を自分好みに加工してスピーカーから堂々と垂れ流し、ライブミックスはそのままの音で翌月にはリリースできるのだが、残念ながらそんな贅沢なことはできない。プロの真似をしようとすればするほど「お金」という無惨な壁にぶち当たる。
あの手この手で壁を乗り越えようやくリリースできるか否か?それが私の今の実力だ。プラグインと知恵を駆使して、なんとかライブ映像をリリースしてみせよう。目標は今年中だ。
今週の動画
今週は2本の動画を公開した。
まずはこちら、UADプラグインの新作「LA-6176」の解説動画だ。
結論から言うと私はこれがかなり気に入っており、先述のライブミックスで全トラックにこれをさしている(リリース時にどうなっているかはわからないですが)。2mixに統一感が出るのと、優秀なプリセットの音があらゆるトラックの品質を一段階引き上げてくれる印象だ。UNISONプリアンプにもなるので、Apolloユーザーの私からすると持っておいて損はないプラグインで、きっとこれからバリバリに第一線で使っていく予感がある。現状「Sound City Studios」の次くらいに推せるUADプラグインかもしれない。DSPパワーを結構食ってしまうのが玉にキズだが、ネイティブ版もあるのでまあまあ問題はなし。
次はこちら、LUNAの解説動画の5本目だ。諸事情により公開が遅れてしまったが、時間をかけた分かなり濃い内容にできたと思う。
LUNAエクステンションは技術的に言うととんでもないことをしているのだが、初見でなかなかその凄さが伝わりづらい。ほとんどのDTMerは「卓」に馴染みがないし、そもそも「アナログサウンドへの憧れ」そのものが希薄であることが多いからだ。私のようなロックミュージシャンや、あるいはシンプルに当時を生きていらっしゃった40〜50代くらいの方にLUNAのコンセプトはブッ刺さるだろうけど、ボカロを聴いて育った若い子からしたら「コンソール?とやらを再現できたから何?」としか思わないだろう。実際、この動画は普段より低評価数が多く、そういった層の方達がBADをつけているのではないかと予想している。
「伝説の名器で録った音が再現できる」、これは私からしたらロマン以外の何者でもない。本当にいい時代になったと思う。私がDTMを始めた2010年代初頭は、今ほどDTMが市民権を得ておらず、DTMで作った音楽は「素人の音」「偽物の音」と揶揄されることも多かった。「所詮はパソコンで録った音だよね」「本物のレコスタには絶対敵わないよね」という意見に対して、私は反論できず、「ですよね」と素直に思っていた。実際、当時のアマチュアDTM音楽のサウンドクオリティは酷いもので、そりゃあバカにされるのも納得です、いい音が作れなくてごめんなさい、所詮私の音はデジタルで作った偽物です、そういう空気をひしひしと感じながら、隠れキリシタンのような気持ちでDTMerは活動していたものだ。
しかし、DTMに10年以上しがみついていたら、いつの間にかDTM音楽はメジャーで名声を獲得していった。2019年にビリーアイリッシュがグラミー賞を受賞した作品はDTMで宅録だった、この事実は大いに音楽界隈を騒がせ、そして同時期に日本ではYOASOBIや米津玄師などのボカロ出身ミュージシャンがポップシーンの第一線に躍り出た。コロナの拍車もかかってDTM関連製品の売り上げは伸びに伸びたと言われており、DTMという言葉は少し音楽に詳しい人なら当たり前に知っているレベルにまで浸透した。
もう、誰もDTMの音がしょぼいなんて言っていない。私からしたら夢みたいな世界になった。
実際、もはや現在のDTMのサウンドクオリティは「素人のそれ」ではまったくない。ここからは超個人的な意見だが、その風潮を作るのに一番貢献したメーカーは、「Universal Audio」だと思っている。伝統のアナログ機材をプラグイン化し、ネイティブ仕様にして一般ユーザーまで浸透させた功績は大きすぎるほど大きい。近年はギターペダルやDAWソフトの開発にも力を入れており、今一番勢いのある音楽機材メーカーと言っても過言ではないだろう。Universal Audioこそが、DTMに「本物の音」をもたらした張本人だ。
私はその姿勢も含めて、Universal Audioが大好きだ。忖度一切なしで今一番推せるメーカーは間違いなくUniversal Audioだ。実際めちゃくちゃ製品を買っているし、私のミックス作業の8割ほどはUADプラグインで完結している。
そして今、私はDAWの乗り換えを検討している。11年使ったCubaseからLUNAへ。「HOME STUDIO」はCubaseで作ったので、次の作品はLUNAで作ってみようと思う。それでメインDAWを決めてみたい。果たしてどちらが選ばれるのか、乞うご期待。