仕事道具はケチるな

こんにちは!ゼロカラカンパニーの月岡です。
ゼロカラシティにご参加いただきありがとうございます。

このコラムは、ゼロカラシティのメンバー限定コンテンツです。内容はメンバー以外に漏らすことのないようお願いします。

 

さて、今回のテーマは『仕事道具はケチるな』です。

 

私のポリシー

私は、今でこそたくさんの音楽機材に囲まれていますが、もちろん最初からあれもこれもあったわけではありません。

5本あるギターは最初は1本でしたし、オーディオインターフェースは最初はフォーカスライトの安いやつでしたし、パソコンだって、大学生になるときに生協で買わされたしょうもないものを使っていました。

 

私が機材にこだわり始めたのは、フリーランスとして独立し、ゼロカラカンパニーという名前で仕事を始めた頃です。それまでは「機材は安いのが一番。音が悪いのは道具ではなく自分の能力不足のせい。」という考え方でしたが、仕事で音楽に携わるようになってから、考え方がガラリと変わりました。

 

「仕事道具は最高のものを使うべし」

 

これが、今の私のポリシーです。

 

今日は私がそう思うようになった理由を、大きく3つ紹介します。

 

①道具への投資は、作品への愛情表現

まず前提として、いきなり元も子もない話で恐縮ですが、「いい道具でしか出せない音」は確かに存在します。

これは、世界中の一流と呼ばれるスタジオに高級機材が揃っており、そしてあらゆるプロミュージシャンがそれらの機材を使いたがることから明らかです。「いい音はいい機材からしか生まれない」と言うつもりはありませんが、「いい機材からはいい音が生まれる」という、こちらは真実です。

 

何百万円の機材を使えとは言いません。それは現実的ではありませんから。しかし、音楽機材は数万円の差で大きく音質が変わります。例えば歌を録る人は、1万円のコンデンサーマイクと5万円のコンデンサーマイクで一度自分の声を録り比べてみてください(大きな楽器屋などでできます)。その音質の違いに、相当驚かれることでしょう。

 

仮に、あなたが1万円のマイクを使って、フルアルバムを作ったとしましょう。可もなく不可もない「そこそこ」な音質の歌が10曲収録されたアルバムです。あなたはそれを、本気で胸を張って人に聞かせることができますか?

もし、「機材は大したことないんだけど〜」とか「プロの音と比べないでね〜(笑)」とか、一言でも何かしら言い訳をするようであれば、私は、とても悲しく思います。作者が心の底から推せない作品を、誰が推すことができるでしょうか?

 

そんなことを言うくらいなら、あなたは5万円のマイクを買うべきです。一定以上の年齢の方ならば、口座に5万円の貯金くらいはあるはずです。私なら、迷わずそれでマイクを買います。そして、これから作ろうと思っている作品のクオリティを上げます。機材を買っただけで音質が向上するなら、こんなに単純で分かりやすい話はないからです。

そのようにコストをかけて作った作品は、自信を持って推せます。「今回は前回よりいい音になりました!」と胸を張って言えます。そうしてプロモーションをかけた熱量のある作品は、きっとリスナーに好意的に捉えられるはずです。

 

しかも、音の良い作品は何年経っても色褪せず、時代の耳に耐えることができます。録音現場では50年前のハード機器がいまだに使われていたりします。「いい音」の基準は、10年やそこらでは大して変わらないのです。

もちろんトレンドはありますが、きっと今、心の底から「いい音」と思っている音楽は、あなたが音楽を続けている間はずっと「いい音」であり続けるでしょう。道具に投資することは、作品を長期で愛するための、愛情表現なのです。

 

②いい道具は最高の時短術

「時短(時間短縮)」、みなさんお好きですか?

私は時短が大好きです。時間が人生で一番価値のあるものだと信じているからです。ムダな時間なんて1秒も過ごしたくありませんし、短縮できる時間があれば、コストをかけてでも何とかして短縮したいと日々思っています。

 

結論から書くと、いい道具はときに最高の時短アイテムになります。例えば、私は去年、パソコンを買い替えました。不具合の目立つノートPCから、カスタムしてスペックを盛りに盛ったMacBookに乗り換えたのです。

当時、カスタムMacBookの値段は、私の口座にある貯金額とほぼ同じくらいでした。しかし、私は買うかどうかはほとんど迷いませんでした。MacBookを買うことで、たくさんの余剰時間が生まれるとわかっていたからです。

 

具体的な例をあげます。私はYouTubeに動画を投稿していますが、動画制作には「書き出し」という時間が必要になります。DTMと同じで、編集したデータを一本のファイルにまとめる作業です。書き出しのスピードは、マシンパワーに大きく依存します。また、動画制作においては「編集効率」も忘れてはならない重要なファクターです。いいマシンは、効率の良い動画編集ソフトをサクサクと動かすことができます。動画を一本作るための時間は、「編集効率」「書き出し時間」の2つによって、大幅に変化するのです。

MacBookにしたことで、これら2つの時間が大幅に短縮できました。MacBook以前は10分の動画を編集するのに2時間ほどかかっていましたが、今は10分の動画なら1時間半で編集できます。

この30分は、とてつもなく大きな数字です。仮に1年で200本の動画を作るとすれば、30分×200本で6000分、すなわち年間で100時間を生み出すことができます。…100時間あったら、私たちなら曲が作れますよね。それくらいのことが、いい道具を使うと簡単に実現できるのです。

 

先ほど、私は、貯金額を使い果たしてMacBookを買ったと書きましたが、100時間との交換であれば、なけなしの貯金だって喜んで差し出します。時間はお金よりも貴重な資源です。それに、お金は100時間を使ってまた稼げばいいのですから。

他にも、いいマイクやオーディオインターフェースを使ってミックスの時短をしたり、いい椅子を買って集中力を上げて効率化をはかったり、私はそういったテクニックを非常に好みます。趣味を本気でやりたい人も、時短について、一度本腰を入れて考えてみてはいかがでしょうか?

 

③モチベーションを高める

最後はメンタルの話です。ずばり、いい機材を買うとモチベーションが上がります。

何を当たり前のことを、とお思いかもしれませんが、これ、私は意外と侮れない動機だと考えています。実際にいい機材を買ったことがある人なら、いまごろ大きく頷いていらっしゃるかもしれませんね。

 

先ほども書いたとおり、私は去年、貯金をはたいてMacBookを購入しました。

…そのときの私の気持ち、想像できますか???

もちろん、めちゃくちゃ怖かったです。若干26歳。これで仕事がうまく回らなかったらどうしよう。時間ばかり余って、全然仕事が来なかったらどうしよう。MacBookを買ってから数日間は、ずっとそんな不安に苛まれていました。

 

しかし、今にして思えば、あのときの焦りや不安といった一見ネガティブな感情は、私を1歩も2歩も前進させたと確信しています。

有り体に言えば「後に引けない状態」ですね。これが案外強いのです。人間、追い詰められると、自分でも想像していなかったパフォーマンスが発揮できるものです。

 

心理学の領域で「コストをかければかけるほど、その取り組みから撤退しづらくなる」という声を聞いたことがあります。私で言えば、仕事に対してコストをかければかけるほど、仕事を辞めることは難しくなっていく、ということですね。俺は逃げないぞ、絶対に結果を残すぞ、という強い気持ちがある人は、思い切って高いコストをかけてみると、自分では思いもよらなかったパフォーマンスが発揮できる、かも、しれません。

 

最後に…

さて、最後にひとつ、私から忠告をさせていただきます。

 

「この記事に書いてある内容は、すべて月岡個人の意見です!」

 

…この記事を読んで破産されても、私は一切責任を取ることはできません(笑)

 

私が機材にお金をかけているのは「仕事道具だから」という側面がかなり大きいです。逆に、私は仕事道具以外にはかなりケチな人間です。外食はほとんどしませんし、服を買い足すことも滅多にありませんし、飲み会も2ヶ月に1回あればいい方です。

冒頭でも書いたように、私が今の考え方になったのは「音楽で仕事を始めたから」です。サラリーマンを続けていたならば、きっと私は音楽機材に投資はしていなかったことでしょう。ここに関しては、本当に人それぞれなのです。

 

また、いくらコストをかけるといっても、借金をするようなコストのかけ方は、個人的にはおすすめしません。借金しないと買えない機材は、あなたの身の丈に合っていないからです。理想を言えば、一括で買えるものだけ購入するのがいいですね。私の知り合いで、機材にコストをかけすぎて本当に破産した人間もいますので、ここは慎重になったほうがいいと思います…!

 

しかし、これは強く言えます。

 

もしあなたが音楽にお熱ならば、無理のない範囲でコストをかけてみてください!

 

きっと見たことのない景色が見えるはずです。

みなさんは、最近買ったものはありますか?また、それは何のために書いましたか?よければスレッドで教えてください!

 

告知

12月発売の月岡彦穂のフルアルバムのタイトルが決定しました。

タイトルは「許さず生きろよ」です。

 

この言葉は、アルバム収録曲「種」の歌詞から引用しています。2022年の私を一番よく表していたのが、この「種」という楽曲です。その中で、一番好きな一節をそのままタイトルにしました。

 

 

そんなフルアルバム「許さず生きろよ」ですが、現在、ゼロカラシティ内で“ジャケット制作コンペ”が開催中です!

詳しくはDiscord内「「許さず生きろよ」ジャケット制作コンペ」をご覧ください。

 

では、来週もお楽しみに!

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