3日間作曲だけした結果……

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作曲缶詰が終わった

7月14日から16日までの3日間、「作曲缶詰」を行っていた。

Cubaseレッスンや動画制作などの仕事を一切せず、すべての時間を作曲に使う3日間。結論から言うととても充実したものになった。本当にやってよかったと思う。成果は”デモ音源が3曲”。大満足だ。

作曲缶詰をした理由は、シンプルに「集中して制作に向き合うため」だ。普段は仕事の空き時間に作曲しているのだが、日々の生活の中でまとめて確保できる時間は3時間もあればいい方で、ちょうど興が乗ってきた頃に次の予定があったり、翌日になって熱量が落ちてしまったりと、決してベストとは言えない環境で作曲をしていた。

 

ぎゅっと集中して短期間で作ったら自分からはどんな音楽が生まれるんだろう?5月のワンマンライブ「emergence」の終了後から、そんな欲望がむくむくと湧き上がっていた。

期間はそうだな、3日ほどあれば十分だろうか。朝から晩まで大好きな作曲をして、カレンダーはずっと空白で、酒飲んで寝て起きたらまた作曲して…そんなのほぼ天国じゃないか。絶対やりたい。でもそんな贅沢な時間の使い方が現実的に可能なのかしら?フリーランスだからその3日間は収入ゼロってことだし……。

日々仕事をしながら欲望と葛藤が水面下で闘い、そして結局は欲望が勝利し、さまざまなスケジュールをなんとか調整して、先日ようやく、念願の作曲缶詰を決行した。

 

まずは「缶詰中はどんな生活だったのか?」これから触れていこう。

 

作曲のスタートは昼の12時。普段の仕事スタートより遅い時間だ。なぜこの時間にならないと始められないのかを、時系列を追って説明したい。

みなさんもご存知の通り、作曲は夜の方が捗る。私のゴールデンタイムは18時から24時までの6時間で、わかりやすくブーストがかかりアイデアがどんどん”降ってくる”魔法の時間だ。最終的に完成したデモ音源の採用テイクはほぼこの時間に生まれたと言っていい。どんどん打ち込みをし、ギターを弾き、仮歌を入れて、楽曲を前へ前へ進めた。

逆に、12時から18時まではあまり良いアイデアは出てこない。この時間がとにかくキツく、しかしこれを乗り越えないとその後のフィーバータイムはやってこないので、どんなに辛くても頑張ってPC画面と向き合う。少し打ち込んでは聴き、納得できずに消し、また打ち込んでは聴き、消し、気分転換にコンビニまで出かけて行って甘味を買い、コーヒーで流し込みながらマウスを握り…これを6時間黙々と繰り返す。

概ね12時から18時までは”練り”の時間、18時から24時までが”録り”の時間だった。だから私は後半の6時間にかなり重い比重を置いており、この時間帯を誰にも干渉されず作曲に使える幸福感も相まって、集中力にバフがかかり、夜の6時間は体感で2時間ほどに感じられた。

 

そうして歌ったりギターを弾いたりマウスをぽちぽちしていると、日が変わる頃に決まって集中がプツンと切れる。12時間やったのでもうさすがに限界だ。今すぐ眠りたいが、フル回転直後の熱々の脳みそを冷やさないと眠れそうにない。

だから、毎日24時からは決まって散歩に出かけていた。仙台の夜は涼しくて、目的もなく歩くにはちょうどいい気候だった。脳が冷えるにつれ空腹に気がつくので、コンビニで酒とつまみを気持ち多めに買って帰宅した。歩いている間にもアイデアは降ってくるので、そういうネタは明日のためにボイスメモに録音し、一旦音楽のことを忘れるためにアルコールの力を借り、心身ともに力尽きて入眠する。それが大体深夜の3時頃だ。

で、翌朝は11時に起きて、朝飯を食べて事務所に向かう。到着は12時だ。それから6時間”練り”、6時間”録り”、散歩して酒を飲んで眠る。そんな3日間だった。大学生の頃はこんなことをよくやっていたけど、大人になってまたできるとは思わなかった。

 

3日間という期間が私にはちょうどよかった。これ以上短いと物足りなかっただろうし、これ以上長いと「専業作曲家でもないのにこんな生活を続けていいのかな?」と罪悪感が芽生えてしまっただろう。3日間で3曲のデモ音源。これが今の私が命を削ってできる作品の上限だ。絶対に全部リリースまで持っていきたい(まだ全然デモ音源レベルなので)。

 

「作り始めた曲は缶詰中にフル尺を作りきる」というルールを定めていたので、ダラダラ作曲しなかったのも良かったポイントだ。まぁ来週続きを考えればいいか…というマインドの入り込む余地がないので、いい意味でのプレッシャーを常に感じながら作曲できた。当然決断もドラスティックにせざるを得ず、先延ばし癖がある人や優柔不断な人には作曲缶詰はおすすめかもしれない。

 

最後にデメリットも書いておこう。

 

生活リズムを元に戻すのが非常に大変だ。なんなら現在進行形で苦労している。昨日まで缶詰だったので。今日の仕事は12時から始めた。3日間そのリズムで生活していたのだからそりゃ当然だ。今恐れているのは、このままリズムが戻らずに深夜徘徊癖がついてしまったらどうしよう…ということだ。(そのために今日はジムに行ってバッチリ運動して12時に寝るぞ)

 

また、缶詰直後は人とうまく喋れなくなることもわかった。3日目の終わりにひとり打ち上げで行きつけの飲み屋に行ったのだが、マスターとうまく喋ることができなくて焦った。何を話しかけられても上の空で、ずっとふわふわした返事をしていた記憶がある。何を喋ったかあまり覚えていないし、日本酒をかなり飲んだので途中からはすべてがふわふわになり、気づいたら家のベッドで電気をつけっぱなしで寝ていた。で、今日は11時に起きた。……今後は作曲缶詰の翌日は休みにしよう。

 

色々書いてきたが、総評として作曲缶詰は「おすすめ」だ。3日間をまるっと確保しないといけないので万人におすすめはできないが、学生やフリーランスで時間を自由に使える人は一度やってみるといいかもしれない。

この3日間で作った音楽は、普段のスキマ時間スタイルの作曲ではきっとできなかった。作曲缶詰のおかげで生まれた楽曲が1曲でもあるのなら、何を差しおいても私は缶詰をして「良かった」と胸を張って言える。

大好きな作曲だけにどっぷりと浸かる最高に幸せな3日間だった。またやりたい。癖になってしまいそうだ。早く楽曲を届けられるように頑張って生きていきます。

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