こんにちは!ゼロカラカンパニーの月岡です。
ゼロカラシティにご参加いただきありがとうございます。
このコラムは、ゼロカラシティのメンバー限定コンテンツです。内容はメンバー以外に漏らすことのないようお願いします。
さて、今回のテーマは『フリーランスになりたい?果たして君にできるの?』です。
ぼく、フリーランスになりたいです!
私は、「ゼロカラカンパニー」という名前のフリーランスとして仕事を始めて、もう4年目になります。
「3年生き残ったらすごい」と言われるフリーランス業界において、なんとか生存側にまわれてホッとしている今日この頃ですが、3年もやっていると、「月岡さん!ぼく、フリーランスになりたいんです!」と相談されることも、しばしば増えてきます。
まず、言わせてください。今日は厳しいことを書きます。
なぜなら、「ぼく、フリーランスになりたいです!」と言ってくる「ぼくフリ」の皆様におかれましては、フリーランスになるべきではないと思っているからです。
その理由は、この記事を読み終わる頃には理解できます。この記事では大きく、
・フリーランスの業務
・逆に、フリーランスがやらなくてもいいこと
を解説します。「ぼくフリ」の方はぜひ熟読していただき、自分と向き合うきっかけにしていただければと思います。
では、行きましょう!
フリーランスの業務
フリーランスの業務は、大きく分けて5つあります。
業務内容を説明する前に、ひとつ身近な例をあげておきます。「会社の業務」について復習しておきましょう。
会社には、さまざまな「部署」があります。10人程度の小さな会社は別ですが、ある程度以上の大きさの会社には、必ず、次の5つの部署があるはずです。
・経営陣
・企画部
・営業部
・法務部
・人事部
大きな会社に属している方なら、きっと該当する部署があるはずです。ちなみに、私は会社員時代「営業部」でした。
察しの良い方は気づいたかもしれませんが、フリーランスは、この5つの部署をすべて1人でこなすオールラウンダーです。
なので、仕事量は単純計算で5倍です。多くのフリーランスが「時間がない」とヒイヒイ言っているのは、ここに理由があります。
幸か不幸か、フリーランスには労働時間の上限が定められていません。なので、いくらでもブラックに働くことができますが、それは裏を返せば、ブラックに働かないと仕事にならない、と言えるでしょう。
さあ、ここからは、フリーランスの業務内容について、ひとつずつ詳しく説明していきます。
①経営判断
経営判断とは、「何を受け、何を断るか」です。
すべての仕事に対して、やる/やらないを決めるのは自分です。
個人的には、「仕事を断れる」のがフリーランスの醍醐味のひとつだと思っています。
会社では、上司にやれと言われた仕事に対して「やりたくないからやりません」とは言えません。しかし、フリーランスなら、「やりたくないからやりません」が言い放題になります。
しかし、やる/やらないの塩梅は、とても難しいです。
仕事を何でもかんでも受けていると、ただの便利な下請け屋になってしまいますし、選り好みしすぎていると、売り上げが立ち行かなくなります。
ちなみに、世の中には「下請け」に徹したフリーランスもいますが、個人的にはあまり魅力を感じません。
なぜなら、特殊な形態を除き、下請けの仕事は歴史ある「団体」が受注している場合が多く、信頼度の低い「個人」がわざわざ下請けに特化するメリットを感じられないからです。
大手が食べ残した肉を喰らうハイエナとしての仕事はありますが、自分の人生がそれでいいのか、一度自問自答しても良いかもしれませんね(例えが痛烈ですが、芯は食っていると思います)。
②アイデア出し
一番美味しいところです。
世の中のフリーランスの99%は、これがやりたくて独立しています。
逆に言えば、アイデアが無限に出てくるようでないと、生き残るのは難しいでしょう。
フリーランスは必ずと言っていいほど「ネタ帳」を持っており、しかも、それは常にパンパンです。
ネタ切れなんてあり得ません。みんな、やりたいことはほとんどできずに死んでいくのです。
よくいる「何がやりたいかわからない」人は論外、むしろ、「やりたいことがありすぎて困っちゃう」人が、フリーランスには向いています。
③営業、宣伝
一番苦しいところです。
これが苦手なフリーランスは多く、実際、ほとんどの零細フリーランスはこれができずに潰れていきます。
「自分で判断するのが辛くて辞めたんだよね」「アイデアが尽きて辞めたんだよね」なんて言ってる奴は、見たことがありません。「売れなくて辞めたんだよね」が99%です。
とはいえ、「営業、宣伝の仕方がわからない」という方がほとんどだと思います。実際、私もそうでした。最初の2ヶ月は月収0円でした。
残念ながら、営業、宣伝に必勝法なんてありません。そもそも、他人に必勝法を求めている時点で、「①経営判断」ができていないので、あなたにフリーランスは向いていません。
自分で探してください。私は今のスタイルに至るまで、悪戦苦闘の毎日でした。今だって、もがき、苦しみ、戦い続けています。
強いてコツをあげるなら「真面目にコツコツ」でしょうか。奇抜な発想なんていらなくて、自分が求められていることを真面目にコツコツやり続ける、その胆力こそが、営業、宣伝の本質だと言えるでしょう。
④税務、法務
かた〜いところです。
ひたすら「法律」を勉強します。とはいえ、そんなに固く構える必要はなくて、私は最低限、以下の1つだけ押さえておけば良いと思っています。
・税金の納め方
会社が納めてくれていた「所得税」を、フリーランスは自分で納める必要があります。所得税を納める準備のことを「確定申告」と言います。この言葉は、聞いたことがある方も多いでしょう。
ここの勉強をおろそかにすると「脱税」になってしまうのでお気をつけください。いわば「自分の身を守るための勉強」です。
「税務法務って、それだけ勉強すればいいの?」と思った方もいるでしょう。結論、起業前の勉強はそれで充分です。確定申告のしくみさえ理解していれば、ひとまず犯罪者コースは逃れられます。
あとは本を読むより、実地経験が一番勉強になります。
例えば、フリーランスを長くやっていると「お金を払わない奴」が出てきます。信じられないかもしれませんが、八百屋の林檎を齧って逃げる猿みたいな人間が、世の中には意外といるのです。
こういう猿を防止するための方法はいくらでもあります。前払いにするとか、出禁制を導入するとか、契約書を交わすとか、猿が嫌がる臭いを発しておく、とか。でも、やるならすべて自分でやらなければなりません。「俺、猿の相手をするために起業したわけじゃねえんだよなあ」と思うでしょう。
フリーランスをやっていると、会社のありがたみがわかります。
すみません、荒ぶって文字が大きくなってしまいましたが、これは本当に、声を大にして言わせてください。
会社に所属していれば、「必ずお金がもらえて」「必ず税金は納めてくれる」。これがどれほど素晴らしいことだったか、身に沁みてわかります。ありがとう前職の社長、と心から感じられます(フリーランスになると、感謝する対象と憎悪する対象がグンと広がります。面白いですよ)。
⑤自己投資
自分のスキルを磨き続けることも、立派なお仕事です。
ここにも、会社のありがたみポイントがあります。初めて入った会社で、あなたは新卒研修を受けませんでしたか?
…その新卒研修、勤務時間内で受けてましたよね?
なんと会社員は「お金をもらって勉強する」ことができるのです。これ、バグです。どう考えてもバグ。
・会社員…お金をもらって勉強する
・フリーランス…お金を払って勉強する
フリーランスは、お金と時間を払って勉強します。…まぁ、これに関しては「フリーランスが異常」ではなく「会社が偉大」なだけです。会社って偉大なんです。もっと感謝した方がいいです。
フリーランスは、「自分」というかけがえのない社員に対して、お金と時間をかけてじっくりと教育を施す必要があります。
よく「スキルが充分についてから起業する」と言っている人がいますが、これはまったくもって無意味です。
そういう人たちは、「スキルは0~100の数値で表せる」と勘違いしているのかもしれませんが、それは間違いで、スキルとは常にインフレの真っ只中にあるものです。
昨日まで上限100だったスキル値は、明日には上限110になります。つまり、昨日まで「スキルフル」だった人間が、今日からは「勉強不足」になるということです。
「スキルが充分についてから起業する」の無意味さがわかりますね。「充分」など存在しないのです。死ぬまで勉強です。
成功しているフリーランスは、みな、勤勉家です。そういう意味では、学歴も大切だと私は思います。
過酷な受験戦争を勝ち抜いた人間は「勉強」のやり方及び勝ち方がわかっていますから、フリーランスになった後のスキル取得スピードが段違いです。
「学歴なんて関係ないよ」は嘘です。超関係あります。残念ながら、学歴が高い方が、何をどう考えても有利です。
また、フリーランスがよく飲み会を開いているのも、自己投資のひとつです。
同業者とのおしゃべりほど、魂に火がつくことはありません。
私は最近「カラクリラジオ」というコンテンツを始めましたが、これは「相方の男(同じく音楽系フリーランス)と定期的に会って話したい」が動機のひとつになっています。カラクリラジオはなんと、「公開しなくても意味がある」コンテンツなのです。
それくらい、同業者とのおしゃべりは自己投資になりうるという話です。…すみません、このくだりは無くても良かったのですが、カラクリラジオの宣伝がしたくて無理やり付け足しました。
▼カラクリラジオも聞いてね!
逆に、フリーランスがやらなくてもいいこと
ここまでちょっと脅しすぎたので、「これはやらなくても大丈夫!」という話を3つします。
以下の項目は、いずれも私が起業初期に行っていたにも関わらず、効果がなかったことです。
経験談として話半分で読んでくださいませ。
やたらと人脈を広げる
周りの人間は最小限でいいです。
まず、事実として、「自分が出会える同業者は、みな同格か格下」であることを認めましょう。
フリーランスにとって、異業種交流会にも、SNSの馴れ合いにも意味はありません。
そこに「大物」はいません。大物がそんな場所に顔を出すメリットがないからです。そんなものに参加しているヒマがあったら、⑤自己投資をしてください。
よく、「人脈を広げるのは大事!俺は知人の知人まで辿ればAさん(業界の有名人)と知り合いなんだぞ!」という言説を見かけますが、これはまったく意味のない主張です。
申し訳ないですが、Aさんは遠い親戚以下のあなたに興味なんてありません。覚えているかすらも怪しいです。もし仮にAさんがあなたに良くしてくれているのなら、それは
「利用されている(めんどくさい仕事はコイツに安く投げちゃお)」
「なめられている(コイツは俺を超えることはないだろうから近くに置いておこう)」
「自己肯定感アップの道具にされている(こんな雑魚にも良くしてあげる俺ってなんて優しいんだ…!)」
のいずれかです。
目を覚ましましょう。最後にAさんと飲みに行ったのはいつですか?Aさんから元旦に「今年もよろしくお願いします!」って来ましたか?
Aさんと対等な立場になるまで、Aさんに会うのは控えましょう。
スキルの値下げ
モノを売っている人には当てはまりませんが、スキルを売っているフリーランスは、絶対に値下げをしてはいけません。
自分自身が商品である以上、値下げとはすなわち「私の価値は下がりました」と表明しているに等しい行為です。
それは、今まであなたのスキルを買ってくれた人たちへの冒涜ですらあります。
「私の価値は下がりました!」と言っている人間のスキルを、誰が買いたいと思うでしょうか。むしろ「私は高級です!スキルめっっちゃあるんで!!」と言っている人間の方が、魅力を感じませんか?期待値からしても、後者の方が良い仕事をしてくれるでしょう(たまにいる詐欺師は除く)。
値段とは、自己評価の数値化です。上げることはあっても、下げることはあってはなりません。
事業計画書
事業計画書ほど、フリーランスにとって無意味なものはありません。
事業計画書は、そもそも、株主や従業員を安心させるために作っている側面が大きい書類です。「うちの会社の未来は安泰でしょうの書」です。そういう意味では、事業計画書とは、外交的な側面が極めて大きい書類と言えるでしょう。
フリーランスは、そんなもの作ったってしょうがないです。そもそも、未来なんて誰にもわかりません。極端な話をすると、2019年に書かれた事業計画書は、翌年のパンデミックによってほとんどが紙クズになったことと思います。
1年先のことだってわからないのに、5年先の計画なんて立てられるでしょうか?
もちろん、未来予測はある程度しておいた方がいいですし、夢はどんどん見るべきです。しかし、それをあたかも「確定した未来」かのように事業計画書に書くことには、いささか疑問を覚えます。
その未来は「確定」していないので、それを前提にして動くと確実に失敗します。「5年後にはチャンネル登録者が100万人になっているはずだから、今から5年後の武道館を押さえておこう!」と考えるのは、ただの阿呆ですよね。
私は、2年先は存在しないものと考えています。あらゆる意味で、2年後に何が起きているかはわからないからです。
だから、2年後に○○○したい、などとは考えません。今予測できる一番先の未来は、1年後にゼロカラコンピ参加者を500人にすること、ここまでです。その先のことは、な〜んにも考えていません。
2年後には死んでいる前提で働く。私には、それが性に合っています。
まとめ
歴代最長の文字数になりました(5000文字オーバー)。
読みやすさのため、今回から文字の大きさや色を変えてみました。いかがでしたか?
結局のところ、私が言いたいことはいたって平凡です。
「フリーランスは大変。なるなら覚悟をもって自己判断で!」
私は、あなたの背中を押しません。背中を押されてなったフリーランスなんて、どうせ①自己判断ができずに1年後には消滅していますから。
しかし、あなたが自己判断でフリーランスになった際には、私はあなたを応援します。同業者として⑤自己投資のために飲みに行きましょう。そこでは、②アイデアや④法務の知識を共有し合い、③営業の辛さについて語り合いましょうね。
この記事が、みなさんの進路選択の一助になっていれば幸いです。
では、来週もお楽しみに!